フォトグラファーになるな!「演出家」になろう!

6月5,6日は、2日間短期集中でポートレートマスターセミナーが開催されました。小型のミラーレスカメラ、スマートフォンカメラが身近になり、ちょっとしたコツを掴めばで誰でも「良い写真」が撮れるようになりました。ポートレートマスターセミナーは、そこから「さらなる高みを目指そう!」という目的があります。

今回は、ポートレートマスターを目指すお二人の方が参加されました。少人数での開催ということで、心の距離は濃厚で密に、お互いリッチな時間を共有することができました。

お互い「初めまして」ということなので、まずは体と心をほぐすところからスタートです。

ママフォトグラファーアカデミーでは、新生児、赤ちゃん、キッズそしてママのポートレートを学ぶコースが用意されています。私たちが目指ところ…それは、単に「良い写真」を提供できるフォトグラファーになるのではなく、お客様に撮影時間そのものに価値と感動を見出していただけるようなフォトグラファーになるということです。

そのためには、分業として「シャッターを切るフォトグラファー」になるのではなく、撮影前後含め、全てのプロセスで密なコミュニケーションを図り、お客様との強い信頼関係を築くことがとても大切です。プロのモデルではないママの心をどれだけ動かすことができるのかという「演出家」としての腕が試されるのです。

セミナーのイントロ、まずは白バックで撮影を開始しました。背景情報が何もないということは、モデルさんにより集中することができます。まずは観察。モデルさんの魅力を発見するところからスタートです。

上段は、栃木県からご参加の福田明日香さん。下段は、東京都からお越しの中野真緒さん。お互い「撮りっこ」しています。ちなみに中野さんの撮影道具はiPhone12proMAX(上段の福田さんの写真を撮影)。初っ端からよく撮れてはいますが、まだまだお互い緊張している状態でしょうか?まだまだ完全に心が開いているわけでないようです。

お互いの緊張もほぐれてきたところで、ロケ撮影実践に向かいます。

ここで、参加者それぞれにテーマが与えられました。その一つ「めちゃくちゃ心が高まっている福田さんの1枚」を撮ってみよう!そしてここからがモデルさんの心をどのように高まらせることができるかと「演出家」しての手腕が問われます。

心が高まる=体も高まるということで、「実際飛んでみよう」という演出指導が入りました。その結果上の写真に。確かに躍動感がだいぶ出てきました。

…と、そうしているうちに、本日の講師、sonさんとよねさんの方が高まってしまったのでした。福田さん中野さんは必死なせいでしょう。高まる講師陣を見る余裕がまだないようです…

福田さんの「心が高まった一枚」として中野さんが撮影したのが次の一枚。「体が高まる」ことも確かに有効でしたが、それより福田さんの心が高まるために、より時間を費やしてコミュニケーションしたことで、その表情からもだいぶ「高まってきている様子」が表現されています。(2人だけの世界にどのようなコミュニケーションがあったのでしょうか…)

もう一つのテーマは、「力強い中野さん」。柔和な印象の中野さんの内に秘める力強さを表現してみようと、撮影されたのが次の一枚。とかく「力強さ=目力」となりがちですが、この一枚を撮影するプロセスにも2人だけの濃密な時間の共有がありました。

初日終了です。ご参加いただいた福田さんの初日の感想が綴られたブログです。心境の変化を伺うことができます。

ベビーフォト・ニューボーンフォト Peaceful Time〜Photo studio〜ピースフルタイム《栃木県宇都宮市プライベートフォトスタジオ》のブログ

セミナー二日目は強力な助っ人として、池村和美さん(写真中央)がモデルとして参加されました。

ママフォトグラファーがママに寄り添うことができる距離感というものがあります。初めて出会う者同士、まして異性のフォトグラファーではいきなり距離感を縮めることはできません。しかし、共有する時間が長く、コミュニケーションが円滑だと、寝っ転がってしまうこともお互い平気になってしまいます。「フォトグラファーとモデルさんが同じ時間に同じビジョンを共有することができるのか」ということが作品の成果にも直結します。

さまざまな角度から池村さんの作品が出来上がっていきました。

「初めまして」からスタートしたお二人が、最後に、この二日間を通じて感じた「お互いの最高の一枚を撮影してみよう!」と挑んでみました。セミナー二日目最終パートになる頃は、もう誰も寄せ付けないような2人だけの空間が出来上がっていました。

ということで撮影されたのが以下2枚です。この2枚は、撮影者の自己満足で選んだものではなく、お互いが納得いく作品でした。「今の私(あなた)を表現するならこれ!」というこの二日間の結晶です。

ポートレートを一言で表現するのは難しいのですが、単に容姿を魅力的にプロデュースすることでも、形に残すことでもなく、その人の人格までもが滲み出ているようなそんな一枚なのではないでしょうか。何年後かにこの写真を再びみた時に、その時の撮影時の記憶までもが鮮明に甦るような写真、それこそが「撮影時間そのものに価値と感動を見出していただけるようなママフォトグラファーが撮る写真」、MPAが進むべき道なのです。

今回ご参加の、中野さん福田さんともめでたくポートーレートマスターとしてデビューされることが決まりました!おめでとうございます!

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